2012-01-01から1年間の記事一覧
前回のエントリーでは日本の財政問題を当面ハードランディングさせないためにはどうすればよいかについて書いたが、今回は最終的な財政問題の「着陸(解決)」とは何かについて考察してみたい。 日本の国債残高はGDPの2倍を超えており、言うまでもなく世界最…
手遅れ感漂う日本の財政問題が軟着陸できるかどうかという点については、筆者は「可能性はあるが非常に困難」という見方であるが、たとえそれがどれだけ困難、或いは不可能、であっても出来ること、やるべきこと、が無いわけではない。 例えるなら完全な軟着…
リフレ政策の望まざる帰結の一つの可能性として金利の急騰による国債バブルの崩壊を挙げる識者は多いが、個人的にはそういった主張には若干違和感がある。国債の利率が低くなりすぎ、かつ資金が集中しすぎていることについては筆者も同意であり、又それが望…
安部総裁のリフレ発言?を機に、良くも悪くも活気付いてきたリフレ・反リフレ界隈であるが、その中でも池田教授や小幡氏が活き活きと?リフレ政策批判を展開しているのが目立つ。「インフレは起こらないがハイパーインフレは起こる」池田 信夫 http://agora-w…
前回のエントリーではセンタンス氏による欧米経済に於ける”低成長・高インフレのニューノーマル”論を紹介したが、日本はどうなるだろうか? 結論から言えば、筆者は日本は”低成長・プラスインフレのニューノーマル”へと突入していくのではないかと考えている…
昨年まで英中銀の金融政策委員を務めていたセンタンス氏によるテレグラフの記事が興味深かったのでざっと翻訳してみた。全てに納得できるわけではないものの、金融危機後、英国が陥っている状況と、それを金融政策の中心に居た人間がいかに評価しているのか…
日韓通貨スワップはどうやら協定の拡充分については延長がされない見通しであるが、経緯はともかくスワップ拡充の満期での終了自体は日韓経済にとって良い話ではないかと筆者は考えている。 その理由として、筆者はそもそもこれだけの規模の通貨スワップを平…
日々の株価の動きと為替の関係については株価に関心のある人間であれば多くの人が知っているであろう近年のトレンドであり、実際にリーマンショック後の数年間の推移(以下)を見ても大震災時の混乱時期を除けば確かにそれなりに成り立っているように見える…
以前のエントリー「原油価格高騰と先物市場での投機の拡大の関係について」で原油価格の高騰と投機の関係について考察したが、少し局面が変わりつつあるようなのでUpdateしてみたい。 ある財が投機の対象になる条件の一つとしては価格が上がっても容易に増産…
既に一部では語りつくされた感のある話であるが、ゼロ金利下での金融政策の射程について このテーマについて、ゼロ金利下でも金融政策は有効である主張するリフレ派のお気に入りのロジックはクルーグマンが繰り返し示唆している以下のような「コミットメント…
今回はすこし趣向を変え、インフレ目標政策に関連してある種の思考実験のようなものをやってみたい。 仮に今、陸続きで隣り合った二つの国が共にインフレ目標を2%に設定したケースを考えてみる。 この二つの国の現時点での国民の豊かさは同水準であり、物価…
夏休み明けで幾つか書こうと思っていたネタがあるのだが、まずは何度か考察してきた人口問題とデフレの関係にについて、yutakarlson104氏より「まともな経済理論では、デフレは人口減少と全く関係ない」とのコメントを頂いたので、紹介された「まともな経済…
前回のエントリー(「人口デフレ論」について需要面から考えてみる)では、少子高齢化による人口増加率の減退は人口が減少する前の段階で、住宅需要へ影響を与え始める可能性があるということについて単純化したモデルをベースに考察したが、今回は実際に住…
前回のエントリーでは統計データに見られる相関関係の解釈の観点から「人口デフレ論」に触れたので、今回はなぜ人口減少がデフレ要因になりうるのか?という観点から「人口デフレ論」について考察してみたい。(まあ内容は昔のエントリーの焼き直しだが、、)…
リフレ派とはなんぞや、みたいなエントリーが幾つか出ているが、まあそれとは直接は関係ない話。 今年の2月頃からエントリーのカテゴリーがなぜか「おもしろ」に分類されるようになって、不思議に思っていたのだが、あまり深くは気にしていなかった。 しかし…
日銀の金融緩和が不足しているという主張の傍証として繰り返し出てくるのが各国のマネーの伸び率とインフレ率の関係を示した以下のようなグラフである。(赤データが日本。 参照:マネータリーベースの伸び率とインフレ率の関係について) 確かに図はマネー…
財政再建については「長期的には必要だが、その時期は今ではない」というような議論が散見される。 例えば弊ブログのコメント欄への書き込みから引用すれば 緊縮はともかく財政健全化にメリットがあるのは事実だろうけど、それは非常に長期的な話(しかも、…
「およそ幸福な家庭はみな似たりよったりのものであるが、 不幸な家庭はみなそれぞれに不幸である。」 というのはトルストイのアンナ・カレーニナに出てくる有名な言葉であるが、多くの「不幸」に当てはまる真理であろう。現在進行中の欧州の財政危機に関し…
注目のギリシャ選挙を週末に控え、様々な予測が飛び交っているが、それに先立ち、アイルランドではEU新財政協定批准に関する国民投票が5月31日に実施され、財政規律の強化を義務づけるEUの新財政協定が6割を超える賛成票を得て、同協定が批准されることとな…
前回のエントリーでは企業がブラック化する背景をゲームの理論的に考察してみたが、内容的にはある意味当たり前の話を繰り返したに過ぎない。 そもそも(低賃金企業=ブラック企業とするかどうかという問題はあるものの)資本主義制度のもとでは労働者は相対…
「ニュースの社会科学的な裏側」様と「hamachanブログ」様との間で、ブラック企業に関する興味深いやり取りが行なわれていた。 「ブラック企業は無くならない ─ 社会学者の卵の会話にある無責任」(ニュースの社会科学的な裏側) http://www.anlyznews.com/201…
ギリシャ情勢は深刻さの度合いを深めており、当初は可能性が低いと思われてきたユーロ離脱についても多くの人が不可避なものとして語り始めているが、筆者は何としても残留すべきと考えている。 なぜならギリシャのユーロ離脱が誰よりもギリシャ国民にとって…
飯田准教授が、白川総裁による先進国の人口成長率と物価上昇の関係についての発言(「白川日銀総裁:日本の人口動態の変化が成長率に影響」)を受けて、両者をプロットしたうで、 なんだか最近「これ以上金融政策に出来ることはない」というためならなんでも使…
前回のエントリーにつづき、今回は逆の視点?から、2000年代中頃以降のコモデティ価格の急騰が投機の拡大と無関係にほぼ現物の需給だけで決まっているというような主張に関して、その主張が現実のデータと整合性があるのかどうか考察してみたい。 ここでまず…
原油価格の高騰の要因が先物市場での投機の拡大にあるかどうかについてはまさに価格が急騰していた2008年頃に論争があり、そこで「投機が主因でない」という主張を展開した代表的な論者はクルーグマンだった。Speculation and Signatures Paul Krugman (June…
前回のエントリーではコモデティの先物取引価格の国際商品指数であるCRB-CCIがQE1開始からQE2終了までの2年強の間にFRBの動きに連動する形で350から650へと急騰した事について書いたわけだが、それについて以下のようなコメントを頂いた。 本当は、単なる金…
米国の量的緩和(QE1,QE2)がコモデティをはじめとする商品市場に及ぼした影響について2009年から2011年までのコモデティの先物取引価格の指標(CRB-CCI)の変動と量的緩和をめぐるFRBの動きを簡単にまとめてみた。CRB-CCI はエネルギーや貴金属、農産物などの…
前々回のエントリーでは新たな投資が特定の市場に対して引き起こすのは供給の増加であり、それは投資家に対して価格の上昇ではなく価格の下落を予測させるものである(故にインフレ期待が投資を活性化させるというのはそう単純な話ではない)と考察したが、…
ネットで金融政策に関する議論を少しでも眺めたことがある人にとって、「金融政策は期待に働きかける政策である」みたいは話は何度か(という嫌になるほど)目にしたことがあるだろう。 コメ欄から引用させてもらえば 金融政策の一番の経路は期待への働きか…
デフレの弊害の一つが「実質金利が高止まりし、投資が抑制されること」であるという主張がある。実質金利は通常、以下(wikipedia)のように表される仮想上の金利のことであり、式を見れば分かるように、例え名目金利が 0% であっても、(予期される物価の変動…