2014-01-01から1年間の記事一覧
前回のエントリーで述べた 1. 安倍政権誕生前の2012年度の倒産件数もその時点では過去22年間で最低レベルだった。又、そもそも母数となる企業数自体が基本的に右肩下がりとなっている。 という部分に関し、特に「そもそも母数となる企業数自体が基本的に右肩…
安倍首相がアベノミクスの成果として株価以外に強調しているのは雇用と倒産件数らしく、演説などでも「倒産件数は24年間で最低」 「民主党政権時代よりも2割、倒産を減らしている」とその成果を繰り返しているようだが、この成果を考えるにあたっては少なく…
日本は2012、13年と続けて経済成長率1.4、1.5%と年次で見ればまずまずの成長を遂げてきたが、足元では2四半期連続のマイナス成長と全く勢いをなくしてしまっている。その原因については消費税増税とされることが多いが、一方で景気の減速自体は既に2013年第…
先日のエントリーでアベノミクスによる輸出押し上げ効果はいまのところ全く期待外れに終わっているとい書いたことに対して「全然期待外れじゃない!」といった批判やデータを示せといったようなリクエストをいただいたので、少しこの部分に焦点を当てて考察…
日本もいよいよ消費税率10%が見えてきて軽減税率導入の是非についての議論も高まってきたようであるが、ネットで見かける議論は軽減税率のデメリットについて論じているものが殆どで、そのメリットを改めて論じているものは非常に少ない気がするので、実際に…
本ブログではアベノミクス開始当初から、「トリクルダウン頼み」だと評価しつつ、更にそれが機能するかどうかは疑問であると懸念を呈してきた。(以下の引用内の太字は筆者) 2013-5-18 リフレ政策とトリクルダウン理論について 先日のエントリーでは「黒田…
7−9月のGDPが発表され市場の期待を大きく下回る結果となった。 多くのエコノミストの予想が2%、或いは3%を大きく超えるようなプラス成長であったのに対して、現実はマイナス1.6%と散々なものであったわけで、ちょっと記憶にないくらいのかい離があった。そ…
2014年半ば以降、原油価格の下落が著しいが、その原因についてMarketHackさんで「原油価格75ドル割れを巡る迷信 シェールが成功し過ぎているからこそ、価格崩壊が起きている」というエントリーが掲載されていた。 その概要を抜粋させてもらってざっとまとめ…
米国の量的緩和が終了の見込みとなり、「量的緩和を行えばインフレリスクが高まる」という懸念はやはり杞憂だった! という主張がよく聞かれるようになってきた。 筆者も以前から量的緩和のリスクとしてインフレへの懸念を挙げていたが、これが杞憂に終わっ…
Blogosさんで最近「日本人の「幸福度」は先進国で最下位 「幸せはお金で買えない」国民性なのか」、「日本は不幸か?」の「幸福度」に関する二つが記事が掲載されており、なかなか興味深い考察が行われていたので、便乗してみる。 はじまりは毎年アンケート…
金融緩和関連(リフレ政策関連)のエントリーを書くと、リフレ派と思われる人々から批判的なコメントをいただく事が多いが、今回は「いつも間違った答を出す人」というタイトルで「自分のあずかり知らないことについて、もっともらしい語り口でデマを流し、…
10月31日、黒田日銀が異次元緩和第二段を発表するとともに政府はGPIFの株の運用比率を引き上げる改革案を承認したことによって円急落&株価高騰の派手な動きを見せる事になった。 先日のエントリー(「為替トレンドはこれからどちらに向かうのか?」)では、…
クルーグマン教授がバブル崩壊以降の日銀の金融政策を痛烈に批判し続けてきた事は有名であり、「白川日銀総裁を銃殺すべき」とまで言ったとされているが、そのクルーグマン教授が「日銀に謝りたい」と言ったとかいう記事が注目を集めている。 クルーグマン教…
先日のエントリーでは常に「もっと円安を!」と叫び続ける円安中毒な人はともかく、普通に見れば円安はかなり進んでおり、実質実効為替レートで見れば1985年のプラザ合意後の最安値圏内に既に突入していると指摘したが、とりあえず足元では急速に進みすぎた…
タイトルでほぼ言い尽くした感があるが、一応関連データを示しながら考察してみる。 まずいつまでたっても「円安になっても輸出が伸びず、景気も悪いままなのは水準的にまだまだ円高だからだ!円安が足りない!もっと円安を!!」と言い続けている人も多いよ…
先日発表された住友商事の米国シェールオイル案件での1700億円もの損失(減損)はマーケットに大きな衝撃をもたらしたが、シェール案件での巨額の損失計上はこれが最初ではないし、おそらく最後でもないだろう。 少し調べればわかるがここ数年だけを見ても他…
そもそも財政再建がなぜ必要かといえば、財政が不健全でそのままではいずれ大きな問題を引き起こす可能性が否定できないからであり、多くの場合その主な原因は過去に財政赤字を顧みずに行った財政出動(財政拡張)ということになる。 そしてなぜ過去に財政赤…
最近の黒田日銀総裁による消費税についての発言は主に消費税先送りを支持する人々から色々と批判を受けているようである。 その発言の内容をざっくりまとめると 増税した場合のリスクと先送りした場合のリスクを考えると、増税して予想した以上に景気が落ち…
緊縮による財政再建について肯定的に書くと、書いてもいないことに対する批判が集まることが多いので、今回は筆者が重要と思っている点を幾つか整理して書いておきたい。 1. 殆どのケースでは緊縮は景気に対して抑圧的である。 緊縮を肯定的に書くと、「多く…
先日アップした「なぜイギリスは日本型の長期停滞に陥らなかったのか?」に関して午前様から以下のクルーグマンのエントリーを紹介いただいた。 緊縮の痛み,ケインジアン政策の処方 by ポール・クルーグマン http://urx.nu/bEj9 (景気過熱期以外の)財政再…
弊ブログでは金融緩和のリスクの一つとしてバブルを誘発する危険性について何度か考察したことがあるが、現在のイギリスの状況(特にロンドンを中心とする都市部の状況)はまさにその懸念を裏付けるものとなってしまっているように見える。筆者が居住するロ…
イギリスは今回の世界金融危機の震源地の一つとして、リーマンショック以降、長らく景気低迷に陥ってきた。 イギリスのたどった経緯をざっくり説明すると、バブル崩壊⇒金融危機⇒金融機関への公的資金注入&量的緩和、という既視感のある過程をたどり、低成長…
筆者が何度か考察してきた「定常不況」はある意味、自己矛盾的な状況といえる。 つまり一般的な理論によれば定常状態=長期均衡では安定的に需給が一致しているはずで、すなわち定常であれば不況ではありえないという事である。 そしてこの論法に従えば、定…
前回のエントリーにまたコメントをもらったので、すこし補足しておく。 一般に長期金利は 長期金利 = 期待潜在成長率 + 期待インフレ率 + リスクプレミアムであらわされる水準に落ち着くとされる。 そして長期では通常「期待潜在成長率 ≒ 均衡実質金利」…
前回のエントリーと順序が逆になってしまったが、今回は人口動態、特に「人口増加の鈍化」が定常不況(或いは長期停滞)を引き起こす過程について少し考察しておきたい。 まず人口増加の鈍化が経済に与える影響については、前回に続きクルーグマンのエントリ…
ポール・クルーグマンの「なんで経済学者は人口成長を気にかけるの?」という記事が注目を集めていたが、その中で出てくる「長期停滞」のかんたんな克服法がかなり違和感のあるものだったので、「なぜ人口動態が経済に与える影響が特別なのか?」という点に…
本ブログのエントリーの中でも人口減少がらみは受けが良く(悪く?)、決まって色々と批判を頂くことになるわけだが、どうもテンプレ的というか、エントリーの中身と関係なく、一見分かりやすい切り口から一切合財まとめて全否定するものが多い。 その批判の…
今回は4年ほど前のエントリーの焼き直し+α になるが、人口減少がその各段階においてデフレギャップ(需給ギャップ)と人手不足という一見相反する二つを引き起こす可能性について考察してみたい。 人口減少についての議論には減少か増加かの二つの状態しか存…
前回のエントリーに対して、再度以下のような批判コメントを頂いたので、返信を兼ねてもう一回だけ延長戦。 自前で季節調整をすれば真の失業率は 2012年4月 6.3% 2012年5月 6.3% 2012年6月 6.4% 2012年7月 6.1% 2012年8月 6.4% 2012年9月 5.9% 2012年10月 5.…
前回のエントリーに対して、コメント、ブクマ等で複数の方から「ラスカルの備忘録」様の「真の失業率」エントリーをご紹介いただいた。この「真の失業率」の詳細については「ラスカルの備忘録」様のこちらのエントリーで詳しく説明されているが、年齢階級別…