2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧
前回はリカードの著作からの引用を基に、TPP参加でどのような圧力が経済に掛かるかを考察した。この考察が正しければ、資本の国家間の移動が容易な状況で外国貿易が拡張すれば、資本の利潤率は上昇する一方で、労働価格は均一化していくことになる。 しかし…
先日のエントリーでは「(リカードの)比較優位の原理を持って自由貿易を無条件に支持する主張」について批判的に考察したが、実際にリカードがその著書で論じた内容を読むと、その印象はこういった主張をする人々の言説から受ける印象とはかなり異なる。 比…
ドイツ国債の入札が不調に終わったことについて(参照:「波紋呼ぶドイツ国債入札不調」)。 筆者は今回の札割れが即ユーロの更なる危機に繋がるとは考えていないが、その含むところは非常に興味深いと考えている。 多くの識者が指摘するように今回の入札が…
Chikirin女史の「今、日本で最も時代遅れな団体=「経団連」」というエントリーと、その提案に反論する山形浩生氏の「日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。」というエントリーを読んでの感想。 まずChiklin女史の経団連についての以下の…
TPPに関連して様々な議論が行なわれているが、賛成派の主張には「TPP=自由貿易」とした上で、比較優位の原理を持ってTPPを支持するものが多い。 これに対する反論の多くは「TPP=自由貿易」ではないというもので、筆者もそういった観点から幾つかエントリーを…
コメント返信用追記。 先日エントリーした混合診療に関して二つ記事について、参照として関連する幾つかのグラフを以下に示す。 グラフは何れも以下のワーキングペーパーからの引用。 「後発医薬品はわれわれを幸せにするか −後発医薬品の経済的側面からの考…
今回は趣向を変えて、筆者が考える「為替介入で投機筋に勝つカンタンな方法」について書いてみたい。 日本の円が安全資産として買い進められているのは、リスクが相対的に低いと考えられているからである。 つまりリスクが上昇すれば円は売られる。 ゾブリン…
混合診療と国民皆保険制度の関係についてもう少し違う視点、医療取引をめぐる交渉ゲームという視点、で考えてみる。 国民皆保険制度はごく大雑把に言えば健康な人も含めて全ての人から保険料を徴収し、国が一括した上で医療関連企業や医師会などと交渉して対…
TPPに関しては当初の関税撤廃偏重の議論から、徐々にその他の分野にも関心が広がっているようであり、特に混合診療の全面解禁が議論される可能性があることを政府が認めてからは、その影響についての推進派、反対派双方からの主張が繰り広げられている。 筆…
昨日のエントリーでは推進派の池田教授のエントリーを基にTPPに反対すべき理由の一つについて述べた。 その中で考察の前提とした関税貿易と自由貿易における国民の効用に関する部分、つまり 関税を互いに掛け合った状態がナッシュ均衡(であり自由貿易がパレ…
池田信夫教授がTPP推進派として積極的に記事を発表されているが、筆者にはそこで説明されている理論の中にTPPに反対すべき理由の一部が含まれているように感じる。 池田教授の記事は「TPP = 貿易自由化」という側面を主に取り上げられており、「グローバル化…
最近TPPに関連して、比較優位について言及している記事が目に付くが、その中でよく説明されている「比較優位に基づけば貿易は両者が得をするものであることは明らかであり、貿易に勝ち負けはない」というような話には筆者は違和感を感じる。 筆者は貿易にも…