2013-01-01から1年間の記事一覧

リフレ「運動」についての雑感

先日のエントリー(参照)に対して、田中秀臣氏から「頭の悪いど素人経済論の典型」とのコメントがついているとの情報を頂いた。まあ別に「頭の悪いど素人」と言われたからといって基本的にその通りなのでどうってことはないのだが、ついでにちょろっと氏の…

黒田日銀の異次元緩和による予想外の波及効果について

先日のエントリー(参照)では、アベノミクスによる円安、株高は想定の範囲内だと書いたが、一方でより広い目で見ればやや予想外の、それもプラス方向に予想外の、波及効果と思われるものもあった。 (まあ、予想外と言っても筆者にとって予想外だっただけで…

アベノミクスによる資産バブルは既に加熱しているのか?

いわゆる「反アベノミクス」、「反リフレ」陣営からは早くもバブルが過熱しているとの声が聞かれるが、これはさすがにいささか気が早いのではないだろうか? 筆者もアベノミクスによる資産バブルを懸念しているが、現状の水準が直ちにバブル的水準かといえば…

アベノミクスに備えるにはどうすればよいか

アベノミクスと称して行われている「大規模な実験(浜田内閣参与)」は、筆者の理解では通貨価値の毀損によって経済を立て直すという実験であり、その実験の大きな柱は二つ、一つは労働者の賃金をドル建てで減らすことで企業の収益を上昇させるということ、…

アベノミクスの行く末を予想する

いよいよアベノミクス(リフレ政策)が本格的に始動しはじめた訳であるが、今回はあらためてその行く末を予想してみたい。 といっても筆者の予想は、2011年1月に書いたエントリー(「リフレ政策で日本は破綻するのか?」)から殆ど変わっておらず、要は以下…

財、サービスの「価格」の変化を持ってマクロ的「物価」を語るのは恥ずかしい事なのか?

コメント欄を眺めていたら、タイトルのような発言が目に付いたのでかなり昔に書いた記事(参照)の焼き直しになるが、この点について少し意見を述べてみたい。 まず、この手の主張が基盤とするところはおそらくは 供給ショックとは相対価格の変化であり,こ…

岩田規久男・日銀副総裁の「ハンマー」

前回のエントリーを書く下調べとして岩田副総裁の過去の発言を調べてみたのだが、いやはや、さすが、麻生財務大臣と言うべきか 「学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った」 「学者とはこんなものか。実体経…

最後まで誠実でありつづけた白川日銀前総裁について

19日、白川日銀総裁が4月8日の任期満了を待たずに退任した。 筆者は、リーマン・ショック、東日本大震災、欧州債務危機と日銀にとって非常に困難な情勢が続く中、国内の金融システム・経済への影響が最小限にとどまったのは氏の手腕によるところが大きいと評…

黒田日銀はどこまで『何でも』できるのか?

黒田日銀新総裁は「2%の物価目標を2年程度で達成するため『何でもやる』」との強い意欲を示しているが、現実問題として黒田日銀はどこまで『何でも』できるのだろうか? 日銀が実質的に世界初となるゼロ金利政策を採用したのが1999年、更にその上を行く量…

麻生財務大臣の日銀・金融政策観について

麻生財務大臣が岩田日銀副総裁の答弁に対して、否定的な見解を示したことが話題になっている。 麻生副総理兼財務大臣は21日の参議院財政金融委員会で、政府と日銀の共同声明に盛り込んだ2%の物価目標について「いきなりそこまでいくのは簡単な話ではない…

金融緩和の出口戦略が失敗する時

前回のエントリーの結論とも関連するが、金融緩和のリスクが顕在化した時に何が起きるのか、特に出口戦略が失敗する時に何が起きるか、のイメージがリフレ政策賛成派の方々とはかなり違うようなので、整理の為、筆者の理解をまとめてみる。 基本的に出口戦略…

株高なのに債券高なのは何故か?

いわゆるアベノミクスが現実のものとなる見込みとなって以降、円安と株高が加速しているが、その中で目を引くのが債券(国債)の値動きである。 安全資産である債券(国債)からリスク資産である株への資金の移動も、金融緩和により期待インフレ率が押し上げ…

「デフレ派」の主張 - 2

前回のエントリー(「デフレ派」の主張) に対して多くのコメントを頂戴したが、幾つか誤解がある、又は当方の説明に不十分な点があったようなので補足しておく。 コメントで多かったのは、「費用(リスク)があるというだけで、その費用が効果を上回るかどう…

「デフレ派」の主張

「リフレ派」という言葉は既に完全に市民権を得た感じであるが、最近ではそれに反対する人々のことを「デフレ派」と呼ぶ人が結構いるようだ。 単にリフレ政策に反対と言うだけの意味であれば筆者も「デフレ派」だと思うが、Twitter等で見た感じ、かなり誤解…

「所得上昇なき景気回復」、「雇用なき景気回復」を経て「雇用なき株価回復」へ?

米株市場は先日ついに史上最高値を更新したらしい。 その要因として雇用関係の指標が予想より良かったというような理由があげてある記事が多い(参照:米株市場はダウが再び最高値、雇用情勢改善への期待で)が、それらは単に目先の「材料」視されただけでそ…

TPPが壊すのは誰の既得権益か?

少し前から本ブログのエントリーはBlogosさんにも転載されているのだが、先日そのBlogosで以下のようなTPP推進論(TPP反対批判論?)を見かけた。 「TPP交渉参加と日本の農業問題」 -TPPで農業の"既得権益"に風穴を - http://blogos.com/article/57480/ 言わん…

アベノミクスで実質賃金は上がるのか?下がるのか?

いよいよアベノミクスでリフレ政策が実施される見込みとなったことで、これまで「マクロ」な話として議論されてきたリフレ政策の個人レベルでの影響に注目が集まり始めている。 その中でもやはり注目を集めているのはインフレが進む中、それ以上の割合で給与…

岩田規久男新日銀副総裁 -日本のフリードマン- は何を金融政策にもたらすのか

次の日銀人事がほぼ固まり、副総裁には岩田規久男氏が就任する運びとなるようだ。 言うまでもなく、岩田氏はリフレ派の中心的人物であり、Wikipediaによると氏の一般的な評価は 岩田自身の考え方は、かつての師と同じくマネタリスト的と評されることが多く、…

通貨安競争におけるユーロ圏の苦悩について

最近の為替相場を通貨安競争という視点で捉えるなら、劣勢なのは明らかにユーロである。もちろんより長いスパンでみれば今のユーロの水準は危機前と比べれば大幅に低い水準であり、ここで少し戻していることはECBのドラギ総裁が言うとおり「ある意味で、通貨…

アベノミクスと通貨安競争について

選挙期間中から安倍自民党総裁が日銀の独立性への干渉を厭わない立場から為替に対するかなり露骨な発言を繰り返した成果(?)として、大幅な円相場の軟化(円安)が進行中であり、それに対し幾つかの国から「日本が通貨安競争の引き鉄を引いた」といったよ…