岩田規久男・日銀副総裁の「ハンマー」

前回のエントリーを書く下調べとして岩田副総裁の過去の発言を調べてみたのだが、いやはや、さすが、麻生財務大臣と言うべきか

  • 「学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った」
  • 「学者とはこんなものか。実体経済が分かっていない人はこういう発言をするんだと正直思った」

という言葉がこれほど当てはまるとは思っていなかった。 (大事なことなので二回言いました)


幾つか取り上げてみると、

  • 「よく、『何もかも日銀のせいにしている』と批判されるが、よく考えてみると、世の中で起きている問題の多くは、元をただせばやはり日銀のせいだと言える。少子化、非正規社員の増加、企業倒産の増加、国の税収が増えないことなどは、デフレや円高で不況が続いたのが原因。日本の自殺者が3万人台になっている状況も、このことと無関係ではない。実証研究したところによると、自殺の一定割合以上は経済的要因が原因だとわかっている。そう考えると、日銀の責任は重大だと言えないか」

あたりはリフレ派的には平常運転の範囲内かもしれないが、少子化や非正規社員の増加などまで入っているのは微妙だろう。 少子化トレンドはデフレになる前から始まっているし、非正規社員の増加にしても別に日本だけに限った話では無い。 むしろ日本の方がマシなくらいだ。 


更に面目躍如なのが量的緩和に関する発言で、

  • 「政府と日銀が共同文書を出す際には、日銀の金融政策のみでインフレ目標を達成する旨を盛り込むべき」
  • 「ゼロ金利のもと、量的緩和を進める必要がある」
  • 「当座預金残高が10%増えると予想物価上昇率が0.44ポイント上昇する」
  • 「期待物価上昇率が2%ポイント上がれば為替は15円の円安、日経平均株価は4000円上昇する」

と、効果抜群の金融政策を提示している。 これが本当なら「何でもやる」なんて物騒な事は言わずに、いっそのこと40%くらい当座預金残高を積みまして、後はその効果で予想物価上昇率が着々と上がり、日経平均株価が4000円程上昇するのを静観していて欲しいものである。 


「金槌しかもっていなければ、あらゆる問題は釘に見えてくる。」という名言があるが、マネタリズム、或いはリフレという金槌を持った岩田氏にはどうやら全ての問題がその金槌で叩くべき釘に見えているようである。 これまでの政府・日銀が壊れ物のように扱ってきた、そして実際に非常に壊れやすい状況にある、「日本経済」をその金槌で叩き壊してしまわないことを祈るばかりである。