日銀のウソ??(追記)

昨日取り上げた「keiseisaiminの日記」様のエントリー(日本銀行の資産買入等の基金におけるウソ)に以下のような追記がついていたので、これについても検証してみる。

【追記】
各年債の残存期間は1年以上2年以下としかわからないが、既発の2年債と5,10,20年を比べた場合に、2年債の残存期間が2年のうち丸々に2年残っているとは考えにくいだろう。10年の方が2年に近いと推測できる。
http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110404/1301924289


そんなあやふやな推測で「ウソ」つきよばわりは無いのではないかと思うが、そもそも推測自体にも問題がある。


2年債の償還は基本的に発効日のちょうど2年後に行われるが、5年債や10年債は3ヵ月毎に行われる(3月、6月、9月、12月の20日)。 つまり入札による国債買い入れのオファーのタイミングを考えると包括緩和が始まってから2月までに買い入れ対象となった5年債、10年債のうち残存期間がちょうど2年間となった国債は平成24年12月に償還を迎える国債しか存在しなかったわけである。

これは逆に言えば昨年12月のごく一時期を除けば存在する国債で残存期間がもっとも2年に近いものは常に2年債だったということになる。


そして保有銘柄である5年債の68/69回債、10年債の244/245回債は全て平成24年12月償還の国債である。又、2年債のうち、残高が少ない299回債は同じく平成24年12月償還であり、日銀がコンスタントに要領の範囲内で残期間の長いものを積み増していることが伺える。


又、3月については5年債、10年債を買うことも可能だったかもしれないが、保有している2年債の中のもっとも新しい302回債は償還日が平成24年3月15日であり、この日銀の資料作成時点(3月31日)で23ヶ月と16日残っている。この15日間が問題なのだろうか? しかし仮に平成24年3月20日償還の5年債、10年債を買ったとしても差はわずか5日のはずである。


つまり基金の国債保有残高の銘柄の内訳から読み取れることは日銀が要領の範囲内で可能な限り残存期間の長い国債を買い入れていることであり、間違っても「ウソ」をついているということにはならないはずである。


(追記)
また、基金が国債を買い入れるときには通告を出すが、そのオファーは銘柄を限定している。

日銀、国債買入(資産買入等基金)を通告=1500億円
 [東京 28日 ロイター] 日銀は、資産買入等基金による国債の買い入れを通告した。オファー額は1500億円、スタート日は2月2日。対象は2年債が299回、300回、5年債が68回、69回、10年債が244回、245回。

この例で行けば、2年債の299/300回債は償還が平成23年12月15日と平成24年1月15日、5年債と10年債は全て平成23年の12月20日である。どれを買えばもっとも残存期間が長いかは明らかであろう。