日本銀行のバランスシートとCPIの関係??

先日のエントリーで日英のインフレ率の推移と世界経済情勢を見比べて、中央銀行の金融政策は直接的、短期的には自国のインフレ率を左右していないのではないか?とする考察を書いたのだが、ちょうど同じ日に「keiseisaiminの日記」さまにて、日銀のマネタリーベースの増減が直接的に日本のCPIに影響を与えている(但し3年のラグをおいて)と示唆するエントリーがあげられているのをはてなの「おとなり日記」経由で見つけた。


「日本銀行のバランスシートとCPI」- keiseisaiminの日記
http://d.hatena.ne.jp/keiseisaimin/20110130


記事では2003年から2007年までのマネタリーベース残高とその3年後にあたる2006年から2010年の総合CPI (恐らくエネルギーと食糧を除いたコアCPI)が重ねてプロットされており、さらに当該期間のマネタリーベース残高とインフレ率(3年後の)の相関図と相関係数まで表示されている。

ここで少し期間を広げてこの関係を確認すると、下図の通りとなる。 つまり2006年のマネタリーベース残高の急落と2008年のCPIの急落と関連させていることになる。



経済という複雑な事象においては、因果関係を検証するのはなかなか難しいわけであるが、さすがにこれは無理筋ではないだろうか?


つまりこれは2006年の日銀による量的緩和政策の解除が3年の歳月を経てリーマンショックを巻き起こし日本のみならず世界中のインフレ率を急降下させたというストーリーである。


それにもし仮にこのストーリーが正しかったとしても、日銀の金融政策が3年の歳月を経て世界中のインフレ率を下げたということであれば、日本以外の国の中央銀行はいったいなにをやっていたのか、という話になり、どっちにしろ中央銀行が自国のインフレ率をコントロールできる範囲は限定されているということになるのではないだろうか?