リフレ論は本当にマクロ経済学の理論なのか? (コメントへの返信)

ブクマ及びコメント欄で頂いたコメントへの返答をまとめてみました。 
しかし筆者の文章はコメントへの返信すら確かに「冗長」だな、、、、

API様
個別価格の変化については一般均衡理論もしくは価格メカニズムを勉強すればわかることだと思うけど。ノビーでさえ理解してるのに・・・。もう少しちゃんと経済学を勉強してくれよん!!

経済学に不勉強なのはご指摘の通りですが、この件についてはそういう理論(仮説?)が存在することはともかく、実体を見ればとてもそうとは思えません。

例えば高橋教授も耐久消費財の価格が下落していること、そしてその要因の一つは人口動態である事は恐らく認めておられます(注1)。そして教授自ら示された耐久消費財と非耐久消費財の価格動向の図を見ると、耐久消費財の価格が下落しつづけている一方で非耐久消費財は±1%あたりを中心に推移していますので実際の「物価」の下落・停滞を牽引したのは耐久消費財の価格下落であったと考えられます(高橋教授の説明は違いましたが)。



http://diamond.jp/articles/-/10728?page=5


参照:高橋洋一氏の「「デフレ人口原因論」の間違い」論の不思議 (3)
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110117/1295304810


つまり個別価格が全体価格に影響を与えないというのはりんごが値上がりすればみかんを食べればいいというような話と思いますが、「耐久消費財」のような大きな括りの価格まで個別価格とするのは実態とあわないのではないかということです。


もちろんリフレ的に言えば、インタゲ等を基準として貨幣量がきちんと調整されていれば、耐久消費財の相対価格が下がっても物価は変わらないということかもしれませんが、もしそうなれば耐久消費財価格が下がる一方でその分を補うだけ食料・衣料等の非耐久消費財の価格が上がるわけですから、只でさえ苦しい製造業は溜まったものではないのではないでしょうか?

又一般には耐久消費財の方が工場等に大きな投資が必要と考えられますが、耐久消費財の価格が下がればその投資は保留されるでしょうし、仮に非耐久消費財の消費量がその分増加したとしても全体で見れば経済成長の下振れ要因となるような気がします。


(注1)デフレの正体は人口動態にあるという藻谷氏の本について正確には「耐久消費財価格下落の正体」とすべきと指摘されていたことから推測。


hat_24ckg様
>インフレ期待への働きかけは、結局のところ「ブラフ」であり、しかもプレイヤーの多くがそれを知ってしまっているため、効果が期待できるかどうかは疑わしい。

インタゲのもとで長期国債買い入れ量を増やしてもインフレにならなければ、丸儲けなのでむしろOKですが…。さらに買い入れ量増やせるしね。インフレになったら買い入れ量を減らし、さらに必要があれば金利を上げて引き締めて制御する。どこかおかしいですか?

日銀はBSを絶対値としては大きく拡大させてきています。 それでもインフレ率が上がらないのは高橋教授に言わせれば「デフレ目標」を持っているからだそうですが、それなら「インフレ目標」を掲げただけでインフレ率は大きく上がってもおかしくないことになります(既にBSは拡大しているので)


但し実際には「インフレ目標」を掲げただけではインフレは上がらないと思いますので、ご指摘のように長期国債買い入れ量を増やすなどして市場に意思表示をしないと駄目でしょうが、そうやってさらにBSを拡大させて日銀が「インフレ目標」に本気だと判断されれば、これまでBSを拡大させた分の影響も含めて一気にインフレ期待が高まるのでは無いでしょうか?


そうなれば今度は「インフレ目標」の上限のほうの出番(=インフレ抑制)になるわけですが、それまでに景気が良くなるとは限らないわけでそうすると不況&高インフレ下の金融引き締めができるのかという話になります。 そしてこれはまさしく英国が現在直面しているジレンマになると思います。

Ieo様
文章が冗長で、主張が理解しにくい。
1 リフレ派はリフレイションの定義づけ、言葉の使い方が違う。
2 仮説で行動するなんてあほ
正直20年近くデフレ政策を続けてきた日銀は解体して貰いたい、学者はどうでもいい事を延々と議論してるだけで金になるし、日銀の委員もどうせ結果責任なんて取らないで天下りする学者やもう稼がなくてもいいおじいちゃんだけだからどうでもいいのだろうが。結論を出して行動できない組織は本当に要らない。

文長が冗長なのは全くその通りでせっかく読んでいただいたのに申し訳ないです。 筆者の文章の目標は多元的な現象をできるだけ簡略化せずに、しかもわかりやすく書かれているスティーブンJグールド氏のエッセイなのですが、なかなか上手く書けません、、


それはさておき


日銀については政策実行機関ですから議論しているだけというのは全くあたらず、その責任に於いて自らが妥当と信ずる政策を日々行っているわけで、それが「リフレ政策」ではないだけです。
むしろ同じような言い回しで言えば「(リフレ派・反リフレ派の)在野の学者や評論家は実現性の無いことを延々と議論しているだけで金になるし、何が起こっても責任を取らされることは無い」とも言えます。


野球で言えば日銀総裁は監督で、その監督の采配に元プロ野球選手や野球ファンが文句をつけているような状況では無いでしょうか? 


Ieoさま
「経済学」という一学問体系を「物理学」のアナロジーで理解しようとすることのほうがよっぽど支離滅裂ですけどね

「物理学」のアナロジーというよりはそれで「科学」といえるのか?という問題提起です。
つまりミクロ的に見たときに何が起こるかわからないけど、マクロ的には絶対に正しいみたいな話が科学として成立しうるのかということです。 

buckeye様のコメントにもありましたが「70年代以降のマクロ経済学は学派は異なってもミクロ的基礎付けを重視している点で共通している」わけですが、「(俗論的な)リフレ論」はミクロ的基礎付けがされているのかどうかが疑問なわけです。


hat_24ckg様
で、具体的にとるべき政策は何だとお考えですか。
リフレ政策はとるべきではないの?

これについては当面現状のままでいいと考えています。

理由の一つは世界的にインフレが問題になっており、その解決が容易ではなさそうなことから先進国における長期的な低インフレ化のトレンドが逆転するのではないかと思っていることです。
以下の図で分かるように、先進国は過去数十年低インフレ化の傾向が続いており、日本はその先進国の中でも相対的にインフレ率が低い位置に居続けています。 その結果1980年代の先進国のインフレ率が高い時代にはちょうど良いインフレ率を達成していましたが、先進国全体が下がるにつれてデフレに直面することになりました。

グラフは世界経済のネタ帳様より

参照:日銀総裁の打率とスティーブン・ジェイ・グールド「四割打者の絶滅」
http://d.hatena.ne.jp/abz2010/20110119/1295489195


しかし今回の金融危機、量的緩和等の余波で先進国全体のインフレ率が上昇するなら結果としてその他先進国のインフレ率が上ぶれし、逆に日本はストライクゾーンに戻ってくる見込みとなります。 リフレ政策無しで自然とインフレ率がストライクゾーンに戻ってくるならリスクをとってまでリフレ政策を行う必要は無いはずです。


もう一つの理由は世界経済が依然不安定な状況にあることです。

私は反リフレ派の一部の人が言うように量的緩和が効果が無いとは全く思っていませんが、副作用は大きいと思っていますし、場合によっては財政的な裏づけも必要でありそう何度も連発できるものではないと考えています。
欧州の金融不安は依然解消されておらず、金融危機の再来があっても全く不思議では無い状況です。 もしその様な事態が発生して再び世界経済が混乱に陥った場合、既に実質ゼロ金利となっている日銀には打てる手は少なく、もし当面の景気回復を目的にリフレ政策を行ってしまうと、ますます打てる手は少なくなります。 


現状の円高、低インフレは世界的な物価高騰や金融危機に対処するにはむしろ都合が良い面がありますから、無理にインフレを促進するような政策はリスクとリターンがあわないというのが筆者の見解です。(マクロ的?な考察については近日中にもう少し詳しく書きたいと思います。又長いエントリーになりそうですが、、)


以上です。 もちろん上記に引用していないコメントも大変参考になりました、皆さんコメントありがとうございました。