リフレ政策は「韓国」を目指す?

リフレ政策の目指すところは「マイルドなインフレを起こして景気を刺激する」事であり、流動性の罠に陥っていると思われる日本においては長期国債買い切り等の思い切った金融緩和によって市場にインフレが起きるまで円を供給することとされている(諸説あるが)。

この方法でインフレが起こせるかどうかについても議論はあるが、仮に起こせたとして、このような手段で無理やり起こしたインフレは景気を刺激するだろうか? 

まず間違いなく起きることは日銀の信任が落ちることによる円安だろう。「日銀の信任がありすぎるのが問題」と明言するリフレ派もいるわけなのでこれはある意味狙い通り。 

そしてその先には何が待っているのだろう?


私はその先に待っているのは「韓国」ではないかと思う。


日本には今の為替水準でも十分に競争力のある製造業(部品・素材含む)が存在し、そこに通貨リスクが加われば彼らにとっては鬼に金棒であろう。 その場合長期的にウォン安トレンドを維持しつつ更に1997年、2008年には通貨危機で大きく為替を切り下げ、そのウォン安を武器に国内に世界有数の企業(サムソン、ヒュンダイ)を育て上げた韓国を更に強力な形で再現できるのではないだろうか?

もちろん為替安になれば相対的に資産は目減りするが韓国はその間も輸出企業の牽引によってウォン安とGDPの成長を同時に達成しており、日本も円安と経済成長の両立(+通貨リスクの三立?)を達成できる可能性は十分にある。

むしろ日本から大量の部品・素材を輸入して組み立てを行い輸出するという構造となっている韓国と比べ、資源以外は自前で部品・素材を作ることが出来、輸入依存度が相対的に低い日本ではより強力に円安の恩恵を得ることができる可能性があるだろう(1)。


ただ個人的にはこの未来は望ましいものとは思えない。


通貨リスクが高く、物価上昇率も高止まりし、一部輸出企業が莫大な利益を上げても国内の雇用には限定的な効果しか産み出していない韓国の現状を見て、(今は海外で働いているが)将来的には日本に住み続けたい私にとって日本にそうなって欲しいとはとても思えないのである。


1 但し韓国は日本、中国、そして最終的にはIMF等のサポートによってデフォルトは免れてきたが、日本が同様の状態になった時にサポートできる主体があるかどうかとの問題もある。