減り続ける企業数について

前回のエントリーで述べた

1. 安倍政権誕生前の2012年度の倒産件数もその時点では過去22年間で最低レベルだった。又、そもそも母数となる企業数自体が基本的に右肩下がりとなっている。


という部分に関し、特に「そもそも母数となる企業数自体が基本的に右肩下がりとなっている」に対して複数の方からたてつづけに「間違っている」「でたらめだ」というコメントをいただいて、少し調べてみたのでコメントへの返答をかねて確認したことを書いてみる。


まず企業数であるが、これは以下に示す通り明らかに過去20年近く右肩下がりできている。(ソース) 

尚、上記のデータは中小企業庁のサイトからのデータであり、ここでの全企業数の99.7%(2012年)を占める中小企業も含まれており、又その中小企業のかなりの割合が個人企業となっている。

これに対し、いただいたコメントの中には小規模な個人企業は東京商工リサーチなどの倒産統計の対象ではないというような指摘もあったが、同社のサイトにも

負債総額1,000万円以上の法人及び個人企業を対象基準として倒産企業の調査と集計を開始しています。
http://www.tsr-net.co.jp/guide/feature/establishment/

と書いてあり、同社の倒産件数は個人企業も対象としていると考えられる。 ちなみに「東京商工リサーチなど」となっているのでもう一つの有力な倒産統計である帝国データバンクの倒産件数情報の対象についても見てみたが、こちらもやはり

この倒産集計は、倒産4法(会社更生法、民事再生法、破産法、特別清算)による法的整理を申請した負債額1,000万円以上の法人、および個人経営を対象としています。  
http://www.tdb.co.jp/report/tosan/

となっており、個人企業が対象に入っていないということはなさそうである。(そもそも倒産件数にカウントされる基準が「負債額1000万円」であり、「小規模な」企業の倒産もカウントされていることは明らかなように思える。)


ちなみに小規模の個人企業は倒産率が相対的に低いとされているが、これはそのような企業が財務的に強いという話ではなく、単に行き詰った時に倒産よりも廃業をなんとか選択する傾向があるという事を示しており、そのような廃業は「隠れ倒産」だという評価もある。 アベノミクスは一部の大企業にとっては追い風となるが、中小企業にとっては逆風となることから、今後は倒産件数だけでなくこのような「隠れ倒産」にもこれまで以上に留意する必要があるだろう。