2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

深刻なギリシャ情勢と無責任な外野たち

ギリシャ情勢は深刻さの度合いを深めており、当初は可能性が低いと思われてきたユーロ離脱についても多くの人が不可避なものとして語り始めているが、筆者は何としても残留すべきと考えている。 なぜならギリシャのユーロ離脱が誰よりもギリシャ国民にとって…

先進国の人口成長率と物価上昇はやっぱり関係あるんじゃないか?

飯田准教授が、白川総裁による先進国の人口成長率と物価上昇の関係についての発言(「白川日銀総裁:日本の人口動態の変化が成長率に影響」)を受けて、両者をプロットしたうで、 なんだか最近「これ以上金融政策に出来ることはない」というためならなんでも使…

コモデティ価格の高騰は現物の需給だけで説明できるのか?

前回のエントリーにつづき、今回は逆の視点?から、2000年代中頃以降のコモデティ価格の急騰が投機の拡大と無関係にほぼ現物の需給だけで決まっているというような主張に関して、その主張が現実のデータと整合性があるのかどうか考察してみたい。 ここでまず…

原油価格高騰と先物市場での投機の拡大の関係について

原油価格の高騰の要因が先物市場での投機の拡大にあるかどうかについてはまさに価格が急騰していた2008年頃に論争があり、そこで「投機が主因でない」という主張を展開した代表的な論者はクルーグマンだった。Speculation and Signatures Paul Krugman (June…

コモデティバブルはいかに起こったのか?

前回のエントリーではコモデティの先物取引価格の国際商品指数であるCRB-CCIがQE1開始からQE2終了までの2年強の間にFRBの動きに連動する形で350から650へと急騰した事について書いたわけだが、それについて以下のようなコメントを頂いた。 本当は、単なる金…

米国量的緩和とエネルギー・食料価格のわかりやすすぎる関係について

米国の量的緩和(QE1,QE2)がコモデティをはじめとする商品市場に及ぼした影響について2009年から2011年までのコモデティの先物取引価格の指標(CRB-CCI)の変動と量的緩和をめぐるFRBの動きを簡単にまとめてみた。CRB-CCI はエネルギーや貴金属、農産物などの…

投資判断と一般均衡・部分均衡分析について

前々回のエントリーでは新たな投資が特定の市場に対して引き起こすのは供給の増加であり、それは投資家に対して価格の上昇ではなく価格の下落を予測させるものである(故にインフレ期待が投資を活性化させるというのはそう単純な話ではない)と考察したが、…

金融政策は何の「期待」に働きかけるのか?

ネットで金融政策に関する議論を少しでも眺めたことがある人にとって、「金融政策は期待に働きかける政策である」みたいは話は何度か(という嫌になるほど)目にしたことがあるだろう。 コメ欄から引用させてもらえば 金融政策の一番の経路は期待への働きか…

「実質金利高止まり」論の不思議 − 超低金利なのに投資が活性化しない理由は? 

デフレの弊害の一つが「実質金利が高止まりし、投資が抑制されること」であるという主張がある。実質金利は通常、以下(wikipedia)のように表される仮想上の金利のことであり、式を見れば分かるように、例え名目金利が 0% であっても、(予期される物価の変動…

住宅賃貸市場の「需給」について

同じテーマのエントリーが続いてしまったが最後に以下のコメントについても考察を加えておこう。 (赤線は筆者) 住宅価格が下がるなかで家賃が安定的なのは、それまでの家賃が「安すぎる」状態から適正な状態に戻っていってるだけ、という認識は、賃貸市場…